ヴァルジャン・シナリオサンプル
求めるものは
【ヴァルジャン】
「ああ、マリー。君か。すまない、今手が離せなくてな」
【ヴァルジャン】
「そのあたりに腰をかけてくれ。すぐに終わらせる」
【ヴァルジャン】
「……ふふ、行儀がいいな。出会った頃とは見違えるようだ」
【ヴァルジャン】
「す、すまない、褒めたつもりだったんだ。……ああ、すぐに終わらせる」
【ヴァルジャン】
「茶を入れさせよう。何がいい?」
【ヴァルジャン】
「……君が入れてくれるのか? ふむ……」
【ヴァルジャン】
「では、お願いしようか。君の淹れた茶が飲めるとはな」
【ヴァルジャン】
「……ふむ。いい香りだ。――君は、本当に成長したな。出会った頃は、歩く姿すらぎこちなかったというのに」
【ヴァルジャン】
「ははは、すまない、すまない! ……まぶしくて」
【ヴァルジャン】
「君はどんどん成長していく。若木を見ているようで、私にはとてもまぶしく感じられるのだ」
【ヴァルジャン】
「……」
【ヴァルジャン】
「君を見ていると、未来を信じるのもわるくないと、思えるよ」
【ヴァルジャン】
「きっと、良いものしかあふれていないと……素晴しいものばかりだと……そんな風に、思わせてくれる」
【ヴァルジャン】
「ん? ……心配? はははっ、すまない、らしくないことを言ってしまった」
【ヴァルジャン】
「……心配、か」
【ヴァルジャン】
「……叔父に片目を切られた時は、運命を恨みもしたが……」
【ヴァルジャン】
「君に『心配』されるのは、心地いいな。胸が、温かくなる」
【ヴァルジャン】
「……」
【ヴァルジャン】
「なぁ、君は……」
【ヴァルジャン】
「君は、その……、の……」
【ヴァルジャン】
「だ、誰かの、その、妻になりたいと望んだことはないだろうか?」
【ヴァルジャン】
「そ、それとも君ぐらいの年頃の娘は、まだそんなことは考えないものだろうか?
わ、私は、最近家臣がとみにうるさく……!」
【ヴァルジャン】
「あ、いや、違うんだ! ただ、君はどうなのかと、そう……! ああ、何を言っているんだ、私は……!」
【ヴァルジャン】
「……」
【ヴァルジャン】
「……マリー……」
【ヴァルジャン】
「……無限の未来を持つ、君に、問いたいことがある……」
【ヴァルジャン】
「……君の選択肢の一つ――その先に」
【ヴァルジャン】
「私は、いるだろうか」
【ヴァルジャン】
「そして、君は……」
【ヴァルジャン】
「それを、選んで、くれるだろうか……?」