エポニーヌ・シナリオサンプル

名前を呼んで


【エポニーヌ】
「……お前は、わたしを怖がらないのだな」

【エポニーヌ】
「ふふっ……お前の方が、よほどわたしより強いのだから、当然か」

【エポニーヌ】
「……私は、魔神の娘。エポニーヌ=ビヤンヴニュ=セスタン」

【エポニーヌ】
「鬼神姫君と呼ばれたイドゥベルガ=ブレーメ=セスタンも、龍神姫君と呼ばれたエリノア=アデライーデ=セスタンも。
届かなかった境地にいると、呼ばれる姫」

【エポニーヌ】
「……人は呼ぶ、魔神の娘。人は呼ぶ。恐ろしきエポニーヌ=ビヤンヴニュ。人は呼ぶ。――化物姫君」

【エポニーヌ】
「マリー……?」



【エポニーヌ】
「呼んでは、くれないか……ポーラ、と」

【エポニーヌ】
「わたしの、愛称。ポーラ、ポーラ、小さなポーラ……」

【エポニーヌ】
「同じ名前を持つ娘たちが、そう呼ばれているのを何度うらやんだか。
何故わたしには、そう呼んでくれる人がいないのかとうらんだか……」

【エポニーヌ】
「……けれど……」

【エポニーヌ】
「……お前に呼んでもらえたら……全てのうらみも、かなしみも……溶ける様な気すら、している」

【エポニーヌ】
「笑うか、マリー? 魔神と呼ばれたこのエポニーヌ=ビヤンヴニュが、今、母に縋る幼子よりも弱く、お前に懇願している……」

【エポニーヌ】
「……マリー……わたしの持つものなら、なんだって捧げよう。君にあげよう。
――全部、あげる。だから……」



【エポニーヌ】
「すき……マリー……」